6次産業化エグゼクティブプランナー/株式会社ファーマーズ・フォレスト松本 謙さん
支援をするのではなく、共に歩むこと
栃木県宇都宮市で「道の駅うつのみや ろまんちっく これからの6次産業化に向けて村」の運営を行う松本謙さん。松本さんは、かつて商業施設などの立ち上げや再生に従事し、その後現在の会社を立ち上げ縁もゆかりもない地域に乗り込むと、地元の反発に遭い地域での仕事の難しさに直面します。お仕着せ視点であった自分の改革スタイルを見直し、2 年目には地域プロデュースとして農村に寄り添った課題解決の仕組みづくりに取り組みはじめ、着実に実績と信頼を築いていきました。コンサルタントとしての「診断」と地域商社としての「実業」、その両輪が松本さんの強みであり、6次産業化エグゼクティブプランナーとしても圧倒的な信頼を得ています。
全体を俯瞰でみること、そして本質に気づく目
支援における心構えとして、支援先の事業全体を俯瞰する目を持ち、戦略レベルのケアを意識しています。戦略において、現実に向き合い考える作業はとても地味で、多くの事業者がそこを端折って商品レベルで考えてしまうのです。エグゼクティブプランナーの支援として、加工所を併設した新たな交流施設を整備したいという案件に際しても、新規事業と並行して本業の収益確保の重要性を説き、新規事業と本業のトータルで考えた戦略とコンセプト整理を行い、その総合事業全体でいかに事業採算性を生み出せるビジネスモデルにするか、そのための計画及びロードマップ策定に向けて注力しました。具体的な支援のスタンスとしては、小さな成功体験を積み上げられる状況を作り、事業者が自走できるよう導きます。新たな挑戦にはリスクが伴うものですが、事業者のリスクを最小限に抑えることも私たちの役割なのです。
自分ごととして、サポートする重要性
6次産業化=商品開発と捉える傾向は、昨今の6次産業化における課題でもあります。6 次産業化はあくまで、生産者が主体的に参加できる社会を作ることが目的であり、経営革新の仕組み作りこそが6次産業化なのです。また、戦略を練るとともに、キャッシュポイントの明確化も重要であり、商品の売り上げだけに目を向けるのではなく、組織全体における商品の役割を考える必要もあります。事業者が自ら考え、腑に落ちて初めて前進できる、つまり自分ごとにできるようなサポートが重要です。そして、支援する事業のフィールドは幅広く、時代とともにどんどん変わっていきます。支援者である私たちが固定概念を持たず、常にアップデートしていくことも、今後の6次産業化の発展のために重要なのです。