ターゲットの明確化により、ニーズに応えた新しい都市農業の可能性を発見。新規事業への挑戦から経営全体の向上に繋がるサポート。/株式会社LEAD代表取締役都倉貴博さん

経営改善のための打開策を求めて

兵庫県加古川市で葉物野菜の生産・卸販売を手掛ける株式会社LEAD。代表の都倉さんは14年前に祖父母から農業を引き継ぎ就農しました。農業を始め徐々に販路の広がりができてくると、企業間のやりとりや従業員の採用においても法人化の必要性を感じ、株式会社LEADを立ち上げました。2018年の西日本豪雨の被害にも負けず、現在は従業員10名を抱え日々生産・出荷に励むも、コロナ渦で飲食業界の不振もあり、経営が悪化。

6次産業化サポート

経営改善のための打開策を練ったり、このままの農業スタイルでいいのかモヤモヤしていたところに、兵庫県から支援制度を打診され、経営をどうにかしたい気持ちがありつつ、自分たちの状況なんてわかってもらえるのかと半信半疑で支援を受けることに決めました。

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都市農業の新たなカタチ

6次産業化エグゼクティブプランナーの佐藤翼さんによる支援は、株式会社LEADが抱える現状課題を丁寧にヒアリングすることから始まりました。当初都倉さんは、市場出荷に頼らず新たな利益構造を構築しようと、飲食事業への進出や市民農園の運営を検討していました。佐藤プランナーの指導のもと、まずは経営状況を確認し、将来的な経営発展に向けた計画の洗い出しを行いました。そして、現在の経営状況などを鑑み、飲食事業への進出は先送りとし、市民農園の運営に焦点を絞りました。

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市民農園を開業するにあたり、佐藤プランナーを中心とし、同席していた兵庫県の方とともに、「普通の市民農園でいいのか?」「ターゲットは誰か?」「これからの柱となる事業としての魅力や発展性はあるのか?」などとことん話し合いが行われました。その結果、市民農園が数多くある兵庫県で差別化をはかるために、市民農園を子育て世代の求める「自然体験教育」の場にするアイデアがでました。

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都倉さんも取締役の奥様も、子どもと遊ぶのが好き。そして理科が好き。こうして株式会社LAEDが運営する市民農園のコンセプトが固まりました。難関私立中学の合格を狙う富裕層家庭をターゲットにした体験教育型農場です。具体的な内容も次々と決まり、ご夫婦で漠然とやってみたいと考えていた教育のための「畑の駄菓子屋」や「畑の図書館」など、アイデアが光る「サイエンスふぁーむ」が誕生しました。新規事業の計画が進むと同時に、本業である葉物野菜の生産・卸販売でも「顧客は誰か?ニーズは?」を常に考えるようになり、収穫や調整の仕方・販売方法などを見直し、今まで以上に効率化をはかることができました。

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「佐藤さんに言われた、「それは仕事ですか?趣味ですか?」にハッとされられました。新規事業をすすめることで、既存事業についても改めて考え、経営全体を見直す良い機会になりました。」と都倉さんは振り返ります。

ビジネスモデルの構築を通して得た学び

都倉さんは一連の支援を通じ、ビジネスモデルの作り方として、顧客ターゲットの設定、提供サービスのブラッシュアップ、プロモーションやマーケティングの具体的な実践手法を学びました。今後はサイエンスふぁーむの運営を通して、消費者と直接関わる中での学びも生かし、地域の生産者とも連携した新たなサービスや商品の提供につなげたいと意気込みます。株式会社LEADが地域や兵庫県全体に気付きを与えられるような存在になることを目指します。

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